「あの」
お姉ちゃんが誰かに話しかけている。
不思議に思いながら、じっと見つめる。
「もうすぐお母さんが来てくれるからね」
少し時間が経ち、お姉ちゃんがそう言って笑う。
黙って頷いた。
「晃希!」
お母さんの声がして、振り向く。
その瞬間、ぎゅっと抱きしめられた。
「良かった…」
安心した声が耳の近くで聞こえた。
「あの、」
お母さんが立ち上がり、お姉ちゃんを見る。
「この子を助けてくれてありがとうございます」
「いえ、」
頭を下げるお母さんに、慌てているお姉ちゃん。
「このお礼は必ずしますので」
「いえいえ、そんな」
…お姉ちゃんが、困ってる。