******* 「晃希」 「はい」 話がある。 そう言って、父さんは俺を自室に入れた。 父さんと話すのはひさしぶりだ。 顔すら見てなかったけど。 なんだか少し、やつれてる。 「お前、カナダに留学しないか」 「…留学?」 「そうだ」 俺が、カナダに…留学? 「ずっと決めていたんだ」 父さんは真剣な瞳で言う。 譲ることは出来ないのだ、と。