たくさんの人とすれ違うなか、握られた手の進む方についていく。


「僕、お名前は?」


「晃希」


「じゃー晃ちゃんね!」


楽しそうに笑う。


…晃ちゃん。


初めて聞く響き。


「晃ちゃんは何年生?」


「小学校1年生」


「そっかー。お姉ちゃんは5年生だよ」


5年生。


そう言われても、あまりわからない。


「学校楽しい?」


「………」


「まだ分かんないか」


少し困ったように笑った。


「ちょっと待っててね」


そう言って、手が離れた。