あいつがいい。



「どう?」


一口食べた俺に、不安と期待をのせて訊ねてきた。


「…美味しい」


「ほんと?」


「……うん」


嘘じゃない。ほんとに。


まだ信じられないけど、美味しい。


「良かったー」


安心した声、嬉しそうな顔。


「最近疲れてるのかなって思って、それで」


ふと手が止まる。


「少しでも、元気出してほしくて」


照れくさそうに、そう言うから。