「見て晃ちゃん!桜きれい」


慌ててそんなことを言うから、顔を上げる。


「優花(ゆか)」


「…ん?」


名前を呼んで、髪に手を伸ばす。


「…何かついてた?」


突然の行動に驚きながら、俺を見つめる。


「桜」


「そっか。ありがと」


自然な笑顔に、ホッとする。


俺は、その笑顔が好きなんだよ。


……なんてさ。


ぜったい本人には言わねーけど。


いつもそーやって笑っててよ。


俺を安心させてよ。


俺の気持ちに気付いてなんて言わないから、ちゃんと幸せになってよ。