あいつがいい。



「…勉強、辛いの?」


頭を撫でながら、遠慮がちに聞いてくる。


「…別に」


優花に会えない方が、よっぽど辛いわ。


……なんてな。


「あとちょっとだからね」


泣いている子供をあやすかのように。


優しい声が、上から降ってくる。


…あぁ。


もう、たまらなく好きだ。


どこが好きとか、そんなのない。


全部。


全部好きだ。