「晃希」


「はい」


「あなたは佑希(ゆうき)のお兄ちゃんなのよ」


2歳下の弟、佑希。


僕と違って人懐っこく、誰にでも好かれる存在。


「佑希の方がしっかりしてるじゃないの。」


また。


弟と比べられて、叱られる。


お母さんは、佑希が大好きだ。


「親として恥ずかしいわ」


きっと、お母さんの中心は佑希だろう。


「お母さん、ごめんなさい」


…あぁ。


僕は一体何に対して謝ってるの?


「…分かればいいのよ」


怒りは収まったのか、お母さんはどこかへ行ってしまった。