あいつがいい。



「優花」


「なにー?」


「散歩、行こっか」


「…うんっ」


帽子を深くかぶる優花。


その姿を見つめることは出来なくて。


出そうな溜息を抑えた。


「晃ちゃん、どうかした?」


「いや、何でもない」


不思議そうな顔をする優花。


何でもないフリをしておかないと。