神楽弥は峠を越え阿多國にあると言う、霊峰に向かった。
峠の頂上から南へ進めた
辺りが暗くなったので、藁屋が五戸の小さな村に泊めてもらう事にした。
「ごめんください」
神楽弥は藁屋を覗いた。
「どちら様でしょうか」
「旅をしている者です。金峰山に向かっていたのですが、辺りが暗くなったので泊めて貰える藁屋を探しています。」
と、神楽弥が言うと
「自分はかまいませんが、あの白い虎はちょっと…」
「大丈夫ですよ。あの白い虎は霊獣でして、草木しか食べないんですよ。」
「霊獣?じゃあ、あなたは神様か仙人様?」
この藁屋の主が尋ねた。
「旅の者としか言えません。」
「木につないでいるならいいですよ」
「ありがとうございます」
「白虎に触らないでください。普通の人間が触ると、弱ってしまいますから」
「やっぱり、神様か仙人様何ですね」