「……やっぱ、『きょうだい』なんかになれねぇな」


風馬と優花に目線が合うように、しゃがんだ。

そして、紅の光が優しく差し込む風馬と優花の母さんの墓を見上げた。


「……過ごしてきた思い出とか、母さんのこととか……風馬の気持ちも、優花の気持ちも……『きょうだい』だったら、当たり前のようにわかることが、俺にはわかってあげられねぇもん」


小さい頃は『きょうだい』がいる友達が羨ましくて仕方なかった。

きょうだいで喧嘩したり、遊んだり、ご飯食べたり……そんな日常生活の些細なことをしたかった。

でも母親しかいない自分には叶うことのないことで、ようやくその願いが現実になった今でも、心の底から喜べるはずがなかった。


血の繋がった『きょうだい』なんかじゃない。


ましてや、数ヶ月前まで赤の他人だったんだから。


「……でも、これからは『家族みたいなもん』にはなれるんじゃね?

今までの思い出は、俺にも母さんにもわかってあげれねぇけど…

これからの思い出は、辛いことも楽しいことも共有できるよな?」


そう言うと風馬は黙ったままだったけど、優花は優しい笑顔で頷いてくれた。