「入んぞー。」


ノックもせずに、風馬の部屋のドアを勢いよく開けた。

いきなり入ってきた俺にかなりビックリした風馬は、ベッドに寝そべりながら漫画を読んでいた。しかも、片手にポテチを持ちながら。


「…腹減ってんじゃん、こんなん食って。腹減ってんなら、下降りてこいよ。母さん、飯作って待ってんぞ。」


俺はそう言いながら、風馬が食べかけのポテチの袋を取り上げた。


「……いらねぇって言ってんじゃん。」


相変わらず風馬は目を合わそうとしない。


「バカ。成長期のくせに、こんなん食ってんなよ。…昨日まではちゃんと下降りて食ってたじゃん。」

「………。」


風馬は何も言わない。

ただ、ものすごく不服そうな顔をしてる。


「……なんだよ、もしかして『パパ』がいなくて、寂しいのか?」


あえて、ケンカを売るようにわざとバカにしたように言ってやる。

案の定、風馬はキリッと俺を睨みつけた。


「……はぁ?」

「久々にせっかく家族の為に、母さんが作ってくれてんだぞ。父さんが作った飯は食えて、母さんの飯は食えねぇってーの?……何が不満なわけ?」

「……じゃねぇし…。」

「は?」

「……母さん、母さんって。俺の母さんじゃねぇって言ってんだよっ!!」


俺がからかったせいで、スイッチが入った風馬は俺を睨みつけながら大声を上げた。