「ふふ(笑)汗だけじゃなくて、泥もついてるじゃん。」
「しゃあねぇじゃん、部活用のタオルだもん。嫌なら、返せ。」
「ううん。ありがとう、ユキ。」
そう言って笑った透子を見て、複雑な気持ちになる。
さっきまでは泣いてたくせに、もう笑ってる。
まぁ全部、ちゃんと話さなかった俺が悪いんだけど…。
『女』ってややこしいなぁって思った。
* * *
その週末、引っ越しだった。
今、住んでるマンションから二駅離れた場所に移る。
引っ越し先は、戸建の家。
今まで母さんとは、団地かマンションでしか過ごしたことがない俺にとってちょっとワクワク。
二階建ての戸建で、
一階にはリビング、キッチン、ケーゴさんと母さんの寝室、風呂、洗面所、トイレ。
二階には、俺の部屋と隣が風馬の部屋、俺の部屋の向かい側が優花の部屋、そして、納戸とトイレがある。
「へぇ〜めっちゃ広くてキレイ。なんかテンションあがってきた、俺。」
まだ引っ越し業者が来ていない為、空っぽの自分の部屋を見て感動していた。
「いい家だろ?会社も近くて、学校も近くて、築浅で、キレイな家がよかったから探すの大変だったんだよ。」
「ありがと、ケーゴさん。俺、ワクワクしてきた!」
そう笑顔を見せると、ケーゴさん「よかった、ユキが気に入ってくれて。」って優しく頬笑む。
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