確かに、透子がこんな風に感情を出したことはあまりなかったかもしれない。


いつも冷静沈着な透子は、俺と晴がふざけてバカやってんのを、冷静につっこんだりして、あまり表情は変えない。


だから……


『ヒドイよ、ユキ。』


あんな風に悲しそうに言う透子は、初めて見たかもしんない。

だとしたら、晴が言うとおり…ちょっと言い過ぎたのかな、俺。


いくら昔からの幼馴染だからって、少し適当になっていたのかもしんない。

透子は、俺にとったら一番仲いい女友達だし……普通の女の子とは少し違うもんな。


そんなことを考えながら、透子の居場所を探した。

まだ部活動中の学校内は、校舎にもグラウンドにも生徒がわんさかいる。


あまり、人がいないとこといえば……体育館裏かな……


そう思って、体育館裏に行くと俺の予想的中で透子がいた。


透子は、日の当たらないジメッとしたこの体育館裏にしゃがみ込んて顔を伏せていた。


「透子っ!んな、とこで何してんだよ。」


そう駆け寄ったけど、透子はピクリとも動かないし、声も発しない。


「透子って。」


もう一度、声をかけたけどまったく同じ反応だ。


「……透子……。


…透子……ごめん……俺、言い過ぎた。」


そう言っても、やっぱり透子は同じ反応だった。