「……ユキも優花ちゃんも……あなた達、ずっと『兄妹』の関係だと思ってたの?」


眉間にシワを寄せて、母さんの言葉を考えていた。

いくら考えても、あまり意味がわからなかった。


「……は?…えっ……だって…血は繋がってなくても、戸籍上では…俺と優花は『兄妹』じゃん…」


そう言うと母さんはふふふと少し笑ってもっと意味のわからないことを言い出した。


「……あなた達、別に戸籍上でも『兄妹』なんかじゃないわよ?」


は?と言いたかったけれど、もはや声は出なかった。


「ね?ケーゴ」

「うん。……ユキと優花は『兄妹』なんかじゃない。…だから、そんな深刻にならないで、普通に付き合っていいんだよ」


隣の優花を見ると、ものすごく困った顔をしていた。

多分、俺もそんな顔してるんだろう。


だってー…。



「えっ……ちょっと整理させて。……母さんとケーゴさんって再婚したんだよね?籍入れてるんでしょ?…だったら…」


そう言いかけると、母さんはニンマリ笑う。


「ふふふ。…籍なんて入れてないわよ?」


は???


「……あたしとケーゴ……籍は入れてないわよ?」


二回言われても意味がわかんなくて、キョトンとしているとケーゴさんが話し出す。


「……確かに…みんなと会う前までは籍入れようかなんて話してたんだけどね、籍を入れることだけが全てではないし」

「……そうよ。それに、食事会でユキと優花ちゃんが顔を合わせてるの見て、もしかして〜って思っちゃって」

「……何が?」



あー…ヤバイ…。

……イライラしてきた。


「……もしもユキと優花ちゃんが恋とかしちゃったら、籍入れてたらややこしいでしょ?…あたしとケーゴは一緒にいれればそれでよかったの。赤ちゃんだってもう望んでいないし。……まぁ、ユキと優花ちゃんがそういう関係にならなければ、歳取ってから籍入れてもいいしねって…。……でも、よかった。本当にあたしとケーゴが思ってた通り。

ユキと優花ちゃんが恋人同士になったらなぁ…って話してたから」

「っ全然、良くねぇよ!」


テーブルに手をバンッと叩きつけて、立ち上がった俺に、にやけていた母さんもケーゴさんもビックリして俺を見上げた。