「……訊いてた?」


黙ったままの二人にそう訊くが、ふたりともポカンとしている。

後ろにいる風馬を見ても首を傾げているし、不思議に思って俺と優花は目を合わせる。


すると、「ふふふ…」という笑い声が聞こえてビックリして前を向くと、母さんが下を向いて肩を震わせて笑っている。


隣のケーゴさんまでつられて笑い出した。


笑う二人が不気味過ぎて、今度はこっちが口が半開き状態でポカンとさせられる。



「……な、なんだよ。……俺、なんか、おかしいこと言った?」


そう訊くと、目に涙まで浮かべた母さんが笑いながら話す。


「…っふふ。……う…っん…ふふ…おかしいこと…言ってる…っふふ…。…はぁー…ふふふっ…お腹いたい…っ」

「ハハハッ…み、実里……ハハ…そんなに笑ったらっ…ハハハ…かわいそうじゃ…ハハ、ないか……ハハハ」


そういうケーゴさんだって爆笑してる。



腹まで抱えて、涙まで流して笑ってる二人になんだかバカにされてるような感じがして腹が立ってくる。


「……なに、ずっと笑ってんの?…こっちは真面目な話してんだけど」


そうキリッと母さんの顔を見ると、笑っていた母さんは「ごめん、ごめん」とティッシュで涙を拭く。

ケーゴさんも笑い過ぎて俺の反応に気まずくなって、笑うのをやめて一口お茶を口に含んだ。


ずっと母さんをキリッと見つめたままの俺に、笑うのをやめた母さんがようやく口を開いた。