* * *


「……どうしたの?改まって…。……優花ちゃんまで…」


テーブルを挟んで、隣には優花、俺の前には母さん、その隣にはケーゴさん。

風馬はリビングのソファで聴こえるか聴こえないかくらいの小さい音量のテレビを見ながら、こっちの様子をうかがっていた。


晩ご飯よりも先に話があるんだけどと、俺が母さんとケーゴさんに言ったことで、こうして四人テーブルを囲んでいた。


どちらかと言えば、誰かしら喋って笑いが絶えないような騒がしい家だから、こんなにも静かな空間がなんだかまったく違うところにいるような感覚…あまり落ち着かない。


「……なんだ?話って。……大事な話か?」


何から切り出したらいいのかわかんなくて、黙っていたままの俺にケーゴさんが訊く。


「……うん。……晩ご飯よりも大事な話」

「…なんだよー?……なんだかドキドキしてくるじゃねーか」


静かな空間に慣れないのか、ケーゴさんはそう言って苦笑いする。


切り出し方に迷っていると、隣の優花が心配そうに俺に声をかける。


「……ユキちゃん……あたしから言おうか…?」


そんな優花に微笑みかけて「大丈夫」と深呼吸をして、前に座る母さんとケーゴさんを真っ直ぐ見つめた。


「……あのさ……


……俺……優花が好きなんだ」


そう言うと、母さんとケーゴさんはポカンと口を半開きにしたまま固まっていた。

だから、話を続けた。


「……俺……ちゃんと前向きに、優花と付き合いたいと思ってる。

先のことはまだわかんないけど、優花とずっと一緒にいたいって思ってる。

だから……

俺と優花との付き合い…認めてほしい。


……『兄妹』だってわかってるけど、どうしても俺、優花じゃないとダメみたいで…。


……『兄妹』の関係……
ぶち壊しても、ずっと…優花といたい。


……だから、俺と優花のこと…認めてほしい…。

……お願いします」


俺がそう頭を下げると、優花も黙ったまま頭を下げた。


二人の反応が少し怖い。


頭を下げたまま、二人の反応を待っているが、どちらも黙ったままだから少し顔を上げて、様子をうかがうと二人はさっきと変わらず、口をポカンと開けたまま固まっていた。