眠たい目を擦りながら優花を見ると、優花は「…つまんなーい」って小声で言う。


「……さっき寝てなかったっけ?」


俺も小声で訊く。

飛行機が離陸する前に席に座った途端寝出すから、晴と持田とで「の◯太じゃん」って突っ込んでた。


「……目、覚めちゃった」


微笑んだ優花がそう言うから、俺も自然と笑みがこぼれる。


「……なに、食ってんの?」


優花の口がモグモグ動いてる。


「……ん…シークワーサーの飴。…昨日、お土産屋さんで買ったんだけど、すっごく美味しいの。…もっと買っとけばよかったなぁ」

「……ふーん。頂戴?」

「…あ、もうなくなっちゃった」


優花がポーチの中をガサゴソ探すが、シークワーサーの飴は見渡らないようだ。


すると、見つからなかった代わりの飴を優花が俺に差し出した。


「これなら、あるよ?」

「…えー…やだー。…シークワーサーの口だったもん」

「……うーん……だって食べちゃったもん」


そう言って優花が俯いた瞬間、座席用のシートベルトを外して、身体を優花の方へ向ける。


優花が「…ん?」って横目で俺を見た瞬間……


「……ユキちゃ……」


優花にキスをした。