電話を切ると、案の定ニタニタ顔の2人が俺を見つめる。


「『ユキちゃんの声、聞けてよかった』」

「『うん…俺もだよ、ハニー』」


喜劇が始まった。

どうやら、持田が優花役で晴が俺役らしい。

……ってか、俺、しゃくれてねぇし。



からかわれんのは嫌じゃないけど、優花とのこととなると、やっぱ少しは恥ずい…。


俺はそんな二人から逃げるように、さっきまで持田と晴が読んでいたエロ本に目を通す。


二人が変な喜劇をしている後ろで、俺はエロ本見ながら「うっわ…これ、やば」とか言って、なるべく関わらないようにしてたのに、俺の態度にムカついた晴がまた馬乗りになる。


「…いって」

「……お勉強してんじゃねぇよ。まだお前には早い!」


あ、先言っとくけど、これマジ喧嘩じゃねぇからね(笑)

あくまで、じゃれ合いなんで!(笑)


「……うるせー。ハーゲ」


イジワルに笑って言ってやる。


「ハゲてねーし!
このすっとこどっこい!」


晴もイジワルにそう言う。


「……やるか?」

「……望むところだ」

「……泣いてもしんねぇよ?(笑)」

「……泣くのはお前だ!幸せいっぱいでヘラヘラしてるお前を叩き潰してやる!」



その後、持田審判で行われた晴と俺のプロレスごっこ。


見回りに来た先生にこっぴどく怒られ、三人並んで正座させられたのは言うまでもない。