ホテルに着いた。


今日から二泊三日、透子ちゃんと同じ部屋。


自分の気持ちを透子ちゃんに打ち明けてからは、部活動でさえ話していない。


修学旅行の班決めだって、透子ちゃんとは気まずいから別の子と組もうと思っていたのに、松丘くんがさっさと強引に決めてしまった。



……どうしよう……。


こんな重い空気のまま、透子ちゃんとどんな風に過ごせばいいんだろう…。


暗い気持ちのまま、透子ちゃんのあとに部屋に入った。



少し重たいキャリーケースを置いて、カバンの整理をしながら、窓の外を眺める透子ちゃんを盗み見る。


すると、透子ちゃんが急に振り返ってあたしを見るから思わず慌てて視線を逸らしてしまった。


……あ…

あからさまに逸らしちゃった……。



そう心配していたら、透子ちゃんが「ねぇ、栗原さん…」ってあたしを呼ぶ。


なんだか透子ちゃんの声、久しぶりに訊いた気がした。



「………あたし……ユキに…別れよって言われたの…」



音のない部屋に、透子ちゃんの小さい言葉がはっきり聞こえた。

その言葉にびっくりして、透子ちゃんを見ると、透子ちゃんは小さく笑った。



「……何、そんなに驚いてるの?……あたしとユキが別れることなんて、栗原さん望んでたことじゃないの……?」

「………で、でも……どうして……?……そんな、急に……」

「……急じゃない。……初めからわかってた…。……長く続かないって」

「……どういうこと…?」



そう訊くと、透子ちゃんはもう一度窓の外を振り返る。


その背中は少し寂しく……少し強く見えた。