『………真実は違っても……
……実里を恨むことや責めることは出来なかった。
疑わしてしまった父さんが悪い……。
父さんの行動が、実里を不安にさせていたんだ……
……そして、長い話し合いの結果…離婚したんだ…。
父さんみたいな奴と一緒にいたんじゃ、実里やユキを苦しめるだけかもしれない…って思ったんだ……』
『……………』
何も言えなかった。
そんなこと、想像すらしたことなかった。
話の途中で、結局…家族より仕事をとったんだ…って思ったりしたけど、
最後に『実里やユキを苦しめるだけかもしれない』と言った父さんの泣きそうな顔が脳裏に焼きついた。
最後の最後まで……
父さんはちゃんと母さんと俺のことを考えてくれていたと思うと、何も言えなくなった。
……探偵なんか使わず、自分の足と目でずっと俺を探していた意味もようやくわかった。
『……ユキ……』
『…………』
返事はせず、視線を落としていた顔を上げると、父さんは俺を真っ直ぐ見ていた。
その父さんの目から、涙が一粒溢れて頬を流れていった。
『………一緒に暮さないか?』
父さんの言葉に、一瞬目を見開いて、また視線を落とした。
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