自宅の最寄り駅に着いたころには、もう日がくれかかっていて空はオレンジ色からブルーに変わっていた。
「……今日は俺と一緒だから、ついてこないかもなー…おばけ」
ユキちゃんがイジワルに笑う。
「もう、怖がらせないでよ〜…」
「いや、一番ビビッてたの風馬だしな(笑)」
駅から二人並んで歩いて帰っていく。
家までの道、ユキちゃんと話すのは昨日の風馬の話で時々声を出してしまうくらい笑いあって歩いていた。
だけどあの足音が耳にこびりついているあたしは、ある程度歩いていったところで、その足音が聞こえた気がした。
パッと後ろを振り返るけど、誰もいなかった。
「……どした?」
急に振り返ったあたしに、ユキちゃんが訊く。
「……なんか…足音、聞こえた気がしたんだけど……誰もいない……」
「……マジ?…聞こえた?」
「……うん……気のせい…かな」
「……優花、前向いて。……歩いてみよ」
そう言って歩き出したユキちゃんのあとを一歩遅れて歩き出す。
10歩ほど歩いたところで、やっぱり背後から足音が聞こえた。
今度はユキちゃんも聞こえたみたいで、ユキちゃんは前を向いたまま、足並みをあたしに揃える。
「……優花、このまま前見てて。……俺、ダッシュで後ろ行って突き止めてくるから」
あたしは無言のまま頷いた。
ユキちゃんは一呼吸置くと、次の瞬間パッと後ろを振り返り、足音が聞こえた方へと走って行った。
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