日差しが暑苦しい浜辺を透子と二人歩いていく。


優花とは気まずくなる一方で、透子は前みたいに普通に話せるようになった。


あの告白の返事を特に返したわけでもない。

透子も何も訊かないし、なぜか透子から積極的に話をしてくるから俺も自然と話をする……そんな感じで透子との距離は埋められていった。



「……最近、栗原さんと仲悪くない?……あたしの気のせい?」


俺と優花の今の状況に気づいたのは、晴と持田だけではなかった。


「……え……あぁ、気のせいじゃない?」


透子には自分の気持ちは言えるはずがなかった。


「………そう。……じゃあ、彼とのことも知ってるんでしょ?」


その言葉に俺が振り返ると、透子は立ち止まって俺を真剣に見る。


「……『彼とのこと』?」


思わず眉間にしわが寄る。


「……訊いてないの?」


波の音がやけに大きく聞こえる。




もしも、時間を元に戻せるなら……


たとえ、優花に会う前に戻れたとしても、俺は戻らない。


優花に会ったこと事態を否定なんてしたくない。


今のこの思いが苦しくたって、辛くたって、


優花に会ったことをなしにするなんて考えられない。


だから……


俺は前に進むしかない。



もう………


ーーー戻ることなんてできないんだから。