「……成宮くん…。……どうしたの?」


あたしが彼の頭から足先までを不思議そうに見る視線に気づいたのか、成宮くんが笑う。


「ははは(笑)めっちゃ変わったでしょ?イメチェンしてみた。けっこう評判いいんだよ、コレ」


成宮くんは照れ臭そうに頭をガシガシ掻きながらそう言った。

容姿まで変わると、なんだか口調まで変わったように感じる。


「……イメチェンもあるけど……ちゃんと優花ちゃんと向き合いたかったっていうのが本音かな…」


少しだけ悲しそうに彼は笑った。


どう言葉を返していいか迷っていると、校舎の方からあたしを呼ぶ声がした。


「……優花!」


振り返ると、ユキちゃんが走ってくる。


……タイミングが悪い……。


「……さっき透子から体調悪いって訊いて……大丈夫か?……一人で帰れる?……?……あれ?」


息を切らして走ってきたユキちゃんは、そう言い終えると、隣にいた成宮くんに気づいたようだ。


「……あ、この前はすみませんでしたー。ちょっと口論になってたとこを迷惑かけてしまって」


ユキちゃんの視線に気づいた成宮くんが咄嗟に反応して、そう話す。

でも、ユキちゃんはそんな成宮くんを無視してあたしの手を握る。


「……一緒に帰ろ。心配だから」


ユキちゃんのサラサラの手が、あたしの手に温もりを伝える。


今、何よりあたしにはその手が愛しくて、欲しくて、たまらないはずなのに……



あたしはその手を振りほどいた。