泣かしてしまった優花を頭を撫でて慰めていると、優花がパッと顔を上げる。
「……あ、でも。ユキちゃん…オデコ赤くなってる」
優花はそう言って心配そうに、まだ潤んだ瞳で俺のオデコに触れる。
「……痛かった?大丈夫…?」
心配そうに、俺を見上げて訊く優花。
息までかかるその距離感がじれったいのと、心配そうに俺を見る優花が可愛くて仕方なくて……
俺のムラムラ線が一本切れた。
「……ゆ、ユキちゃん……?」
「………ごめん、俺、優花泣かしちゃった……ごめんな」
ムラムラ線が一本切れた瞬間、俺は優花を抱きしめていた。
我慢しようと思ったのに、無理だった。
でも、抱きしめたらもっと優花が欲しくなること…観覧車の時に思い知ったはずなのに………。
「……ううん。あたしこそ、ごめんね…」
そう言った胸の中の優花が、俺の胸にさっきより強く頬を押し付けた気がしたから、抱きしめる腕に思わず力が入る。
「………優花って、なんかいい匂いする……シャンプー?」
頬にかかる優花の長い髪がくすぐったい。でも、それが心地いい。
「……かな?……でも、ユキちゃんもいい匂いするよ?」
「……マジ?何もつけてねぇよ、俺」
「……うん…香水とかそんな匂いじゃないんだけど……何かすっごく…落ち着く匂いがする…」
夕暮れの海辺……
抱き合う二人……
こんなにもムード高まってんのに、キス出来ねぇって……どれだけ残酷なんだろう。
唇でも、ほっぺでも、手のひらでも、
どこでもいいからキスしたい。
優花のこと、好きだって伝えたい。
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