優しい優しい風馬は麻依ちゃんを家まで送ると言うので、途中の駅で二人降りて行った。


最寄り駅までの電車の中、また二人きりになってしまった俺と優花。


俺は何事もなかったように、風馬の話をして笑っていたのに、優花が思い出したように口を開く。


「……そういえばユキちゃん、さっき遊園地で何か言いかけてなかった?」


そう優花に話を戻され、言おうと思えば言うことだって言えたのかもしれない。


でも、言わないほうが正解だと思った。


だって、優花は『妹』だから……。


「……えっ、あぁ……なんだったっけ?ごめん、忘れた」

「……そう」



『好きだ』なんて言えるわけない。


叫びたいほど、言いたくたって。


俺と優花の関係は変わらないんだから。


小説みたいなキザな言い方すれば、俺の恋には終着駅なんてものはない。


揺れる電車の中で、そんなバカみたいなこと思いながら『好き』と言えない気弱な自分を腹ん中で笑うしかなかった。




好きでたまんない、優花の隣でーーー。