俺の妹が可愛すぎて。



「……ま、松丘くんが嫌ってわけじゃないんだけど……」


そう言いかけた優花は、また泣きそうになっていた。


「……俺と乗ったら、特別な場所になりそう?」


そう言いながら、ポケットから取り出したあるものを優花の手の中に渡した。


俺にギュッと握りしめられた手を、ゆっくりと開き、優花は俺を見る。


「……何?これ」

「開けてみて」


手のひらの小さな箱をゆっくりと開ける優花。

箱を開けて、中を確認した優花の嬉しそうな顔が可愛くて可愛くて、思わず笑みが零れた。


「わぁ……可愛い…」

「それ、優花にあげる。それ見た瞬間、めっちゃ優花っぽいって思って」


優花にあげたのは、みやげ屋でにらめっこしたピンクゴールドのクマのネックレス。

12月の優花の誕生月の、ターコイズの石を抱きしめている。


「……わぁ…すっごく嬉しい…ありがとう、ユキちゃん」


そのネックレスを優花にあげたかったというよりは、そのネックレスをあげて喜んだ優花の顔が見たかっただけだったのかもしれない。

優花は嬉しそうに、そのクマのネックレスをつけて喜んでいた。


俺が一番見たかった笑顔で、俺に微笑む優花が可愛くて可愛くてたまらなくて……



「………ゆ、ユキちゃん……?」


片側に傾いたゴンドラ。




空に一番高くなった瞬間、



俺は優花を抱きしめていた。