「もう行くベー」

空が笑い合ってるあたし達に向かって大声で叫んだ。


「「「うん」」」


あたし達は、満面の笑みで、皆がいるところに駆け寄った。
大地も、皆の所にいた。


それだけのことで、顔がにやけてくる。
心臓が飛び跳ねる。

「あらら、まだ好きなの? あのガキのこ・と」

未来が“ガキ”を強く発音していってきた。
未来は、比較的冷めている女の子。

漫画のキャラが大好きだし。


恋は等分しないらしいです。
だから、いっつもからかってくるの。

「そうですよー。大好きですよー」

あたしは、わざと大好きといった。


そうすると、未来はいつも、“ウワッ!”とか言って去ってゆく。
でも、今日は違った。


「頑張れよ、今日、このチャンス逃すなよ。夕美」

「当たり前でしょ」

あたしは、ここは狭い歩道だとも忘れ、歩いていることすらも忘れ、未来に抱きついた。

「ウギャッ!」

未来は、盛大な悲鳴をあげたのであった。