ドキドキドキ

心臓が、うるさいほどになる。
昨日、見事玉砕した。昨日、決めたのに。
もう、諦めるって。


新しい、道に行くって。


「夕美? 俺な、彼女と別れた。やっぱりお前の事が好きだ。昨日、里美に言われて……やっとわかったんだ」


あたしは、青い、何処までも続く空を見上げた。
何か答えは、あるだろうか?


今の私には、わからない。
龍と、龍と、出会わなかったらきっと答えは簡単だった。
でも、もう遅いんだ。

遅すぎる。
好きだけど、純粋に好きとはいえない。

たった、一日で変わってしまった心。


「もう、手遅れだから」

あたしは、それだけ言って今まできた道を戻ろうとした。


「待って! 夕美どうしてぇ? 昨日まで、あんなに好きだったのに」

里美が、あたしの手を掴みながらそう叫ぶ。
泣いているようにも、聞こえる。


「出会ってしまったから」


あたしは、そう言い残し走った。

手遅れなんだ。手遅れ。
もう、遅いんだ。