はるるんから受け取ったその紙へと視線を落とす。
「これって……」
それ以上言葉が続かない。
だって、ここに書かれてるのって。
「どう?欲しかったでしょ?」
「う、うん!はるるん、神!めちゃくちゃ欲しかったです!」
そう、めちゃくちゃ欲しかった!
梶木君の家の住所。
今まで何回も梶木君に聞いても、森山さんに教えると押し掛けて来そうだから言わない。って言われて知らなかったんだ。
あんなに知りたかった情報をこうもあっさり掴んでくるなんて。
流石はるるん!
そして、山田君の口の軽さ万歳!
「では、私は早速…」
そう言いながら、机の横に掛けていた鞄に手を伸ばし、椅子から腰を上げる。
そのまま教室のドアの方へと進もうとした瞬間、
「ちょっと待ちなさい!どこ行く気、泉?」
突然のはるるんの静止に振り返り首を傾げた。
どこって、
「梶木君の家!」
それ以外にありませんが!
だが、そう答えると直ぐにはるるんの盛大な溜め息が響き渡る。
「梶木、風邪引いて寝込んでるらしいわよ」
「本当!じゃあ、お見舞いに急いで行かなきゃ!」
だから、休みだったんだ。
お見舞い、お見舞い!梶木の甘い匂い!
「待ちなさい!」
再び歩き出そうとした私の足を止めたのは、やっぱりはるるんだ。
その声音は少し怒りが含まれていて、鋭い視線が私の背中に突き刺さっている気がする。


