「見え…なかったです」
「でしょうね」
クスクスと笑うはるるんから、再び窓の外へと視線を向ける。
「梶木君、どこにいるの……」
お伽噺で王子様を探すお姫様ってこんな感じなのかも。
そんな事を考えながらちょっぴりお姫様気分に浸っていると、
「自分の家に居るわね」
と、はるるんの口からあっさり答えが紡ぎ出された。
えっ!それって……、
「休みって事!?っていうか、はるるん何で知ってるの!?」
「梶木と仲の良いバカ田に聞いたからね」
目を丸くしていると、そう言いながらふふっと笑う。
とっても可愛い笑顔なのに、口から飛び出してきたのはバカ田という酷いあだ名。
「バカ田って、……山田君が哀れすぎる」
梶木君とよく一緒にいて、お昼を一緒に食べたりしている山田君。
授業中にたまにチラチラとはるるんを見ている様子からして、明らかにはるるんにホの字の彼。
「あら。梶木と違って、バカ田は扱いやすいから結構好きよ」
はるるんに上手い具合に使われてるよ。
「扱いやすい…ですかい?」
「ええ。お陰でほら」
ピッと掲げられた人差し指と中指の間には小さなメモ用紙が挟まっていて。
「泉が喉から手が出るほど欲しい物まで貰っちゃった」
ニヤッと笑ってそう言うはるるんは、とてつもなく楽しそうだ。
「私の欲しい物!?そ、その紙に何が?」
思わずそろそろとその紙へと手を伸ばすと、「どうぞ」と差し出される。
ただのメモ用紙。されど、メモ用紙。


