「さっき菊さんが雪ちゃんって言ってたでしょ。あれ、ばあちゃんの名前」


「マジですかっ!」


「マジですが」



雪ちゃんっておばあちゃんの名前だったんですかい。


ああ、そういえば昔は菊さんや雪さんっていう2文字の名前が多かったってお祖父ちゃんが言ってたっけ。


私のお祖母ちゃんも、梅だったらしいし。



「雪ちゃんって、てっきり梶木君の妹さんかお姉さんかと」



苦笑いを漏らすと、梶木君はフッと鼻で笑って


「アホ」


とポツリと言葉を漏らす。



「なっ、だって……」


唇を尖らせるがそれ以上は言葉にしない。



だって梶木君の事、私殆ど知らないんだもん。


たから、……もっと知りたい。



そんな気持ちは恥ずかし過ぎて絶対に言えない。


筈なのだが、梶木君はふーんと口にしたと思ったらニヤッと意地悪な笑みを浮かべて口を開く。



「僕は一人っ子だよ」



たったそれだけの言葉。


だけどその言葉には私が聞きたかった梶木君情報が含まれていて。


梶木君には何でもお見通しなのかもしれない。



「そ、そうなんだ!私は妹がいるの!海っていって、今日も海が私のぽん菓子勝手に食べちゃってたから買いに来たんだよ」



兎に角、梶木君の事を教えて貰ったんだから、自分の事も何か言わなきゃ!と思って出たのが海の事だ。


頭の回転が追い付かずに、話し方がグダグダ過ぎる気もするけど、もうこの際致し方ない。


だって、好きな人に自分の事を話すっていうのは、めちゃくちゃ緊張するんだ。