それに私を見る梶木君の目もいつもの様に蔑んだ目じゃなくて、少し細められて緩やかなカーブを描いている。
こんな時間を過ごせるなんて、海さまさまだ。
「そういえば、梶木君のおばあちゃんってどんな人なの?」
「何で?」
ふと気になった事を問いかければ不思議そうな顔をして首を傾げられる。
一応、聞いたのには理由はあるにはあるのだけど、「何となく」とだけ口にする。
それに、あー、と頭を少し捻りながら考えた後、梶木君が口を開いた。
「ぽん菓子好きの優しい人…かな」
ぽん菓子の匂いがする人は皆、優しくて良い人なのさ。
頭に過るあのおばあちゃんの言葉。
「やっぱり優しい人なんだ」
気付いた時にはそう呟いていた。
「まあ、雰囲気は菊さんに似てるかもね」
「駄菓子屋のおばあちゃんに?」
もしや、おばあちゃんという人は全員あの駄菓子屋のおばあちゃんに似てくるものなのかも。
なんて事を考えて思わずクスッと笑ってしまった。
が、梶木君の口から紡がれる続きは予想を遥かに飛び越える。
「ばあちゃんと菊さんは小学校の同級生で友達だったらしいから。類は友を呼ぶってやつだね」
「そうだったんだ!」
まさか、まさかの駄菓子屋のおばあちゃんと梶木君のおばあちゃんが友達だったなんて!
世間、狭っ!


