そっかと相槌を一応打った所で先程のおばあちゃんの言葉が頭を過る。
確か、今日はぽん菓子が良く売れる日って言ってたんだっけ。
って事は……
「もしや梶木君もぽん菓子?」
既に私の隣に来ている梶木君へグイッと顔を近付けてそう口にすると梶木君の唇が言葉を発しようと動きを見せる。
が、その答えを貰う前におばあちゃんの声に割り込まれてしまった。
「颯太君、いらっしゃい」
「どうも、菊さん」
どうやら梶木君も常連さんらしい。
私はこの駄菓子屋のおばあちゃんの事をおばあちゃんと呼ぶが、彼女の名前は菊さんで。
菊ばあちゃん、菊さんと呼ばれている事も多いんだ。
梶木君は菊さん派かぁ。
ぼけっとそんな事を考えている間も梶木君とおばあちゃんは何やら話をしている。
「雪ちゃんは?」
「元気です」
「そうかい」
雪…ちゃん?
おばあちゃんとの会話で出てきたその名前が気になる。
梶木君の妹とか、お姉さんとか…かな?
今更ながらだけど、私梶木君の家族構成すら知らない。
梶木君の事、全然知らないのかも。
好きなのに……。
「ところで颯太君と泉ちゃんは知り合いかい?」
突然おばあちゃんから飛び出た私の名前にふわふわしていた意識を元に戻すと、梶木君は苦笑いで、
「あっ、まあ…」
という何とも曖昧な返事を繰り出している。
そんなに曖昧にしたい関係ですかい!
いや、ここは私がドカンッと一発かましてやる!


