財布からお金を出してお会計をしている時、ペタペタというサンダルを鳴らす誰かがお店に入って来る足音が耳に届く。
お客さんかな?
この駄菓子屋外観のわりには、意外に繁盛してるしな。
そう思っていると、目の前でレジにお金をしまうおばあちゃんが言葉を漏らす。
「おや、今日はぽん菓子が良く売れる日かね」
ぽん菓子?
思わず後ろを振り返ると、怠そうにこっちに歩いて来ていたその人とバチッと音が出るんじゃないかって程目が合った。
顔を歪める彼に対して、私の口角は上に向く。
こんなタイミングで会えるなんて。
「梶木君!」
「何で森山さんがいるの?」
「何でって、ぽん菓子買いに来たんですよ」
「ふーん」
私同様に土間で靴を脱いでレジの前まで来るとそうどうでもよさそうな相槌を打つ。
それにしても、半袖のTシャツにダメージデニムにビーチサンダルという出で立ちの私服なのに梶木君なら、何だか様になっている気がするから不思議だ。
そんな事を考えながらじっと見つめていると、何?と首を傾げられる。
「いやー、梶木君の私服初めて見たなと思って」
へらっと笑ってそう答えれば、プイッと顔を逸らしてそまう梶木君。
それに続いて、
「森山さんになんか見せる気なんてなかったけどね。こんな格好」
とボソッと独り言の様に呟く。
「ん?」
こんな格好とはどういう意味だ?
結構普通の格好だと思うんだけど。
首を傾げる私に返って来た答えは「別に」という投げやりな言葉で。
多分、私が気にする様な事じゃないという事なのだろう。


