元気でピンピンしてる!って事もなく、かといってよぼよぼで疲弊しきっているって感じもない。
ちょっと不思議なおばあちゃんだ。
「ん?ああ、何処のべっぴんさんかと思ったら泉ちゃんかい」
既にしわしわの顔を更にくしゃくしゃにして頬に笑窪らしきものを浮かべるおばあちゃんは少し可愛いと思う。
「うん。ぽん菓子買いに来た」
おばあちゃんに向かって歩いていけば、おばあちゃんは、のそっと座っていた腰を上げて後ろの棚に置かれているぽん菓子へと手を伸ばす。
「あるよ。ちょいと待ってな」
うん。と返事をすると、ゆっくりとした動きで棚のぽん菓子を取ってくれるその姿を見つめる。
腰は曲がっているのに、ゆっくりだが何処かきびきびした動きを見せるのは、この駄菓子屋の仕事を何年もし続けてきているからかもしれない。
「何袋だい?」
私の方へ一度振り返ってそう聞くおばあちゃんに直ぐ様、
「3袋!」
と声を上げる。
「おや、今日はいつもより多めだね」
「うん、ちょっとね」
シシッと歯を見せながら笑うと、それにつられた様におばあちゃんも笑う。
何かを感じ取ってくれたのだろう。
海の事も知っているおばあちゃんにとっては、いつもは2袋しか買わない私が3袋と言った理由なんて簡単に分かるのかもしれないけど。
海の前でやけ食い気味に食べるって事を。


