「そんなの、食べたかったからに決まってるじゃない。お姉ちゃん、馬鹿?」
出た!またこれだ。
最近色んな人に馬鹿と言われ過ぎて、本当に自分が馬鹿なのか?と思ってしまいそうだ。
でも、こんな事で今日は退かないんだから!
ぽん菓子は私の命です!
「何ですかいその言い種は!これは、明らかに海が悪いでしょうが」
いつもならこの辺りで退く私が退かないからか、海が不満そうな顔をして唇を尖らせる。
おっ、これはもしや姉の面目が保たれた感じ!?
思わずにやっと口角が上がりそうになった時、
「えー、じゃあお姉ちゃんのっていう名前でも書いとけば良かったじゃん。書いて無かったし」
飛び出してきた海理論に目を丸くする。
「名前って……、書いとけば良かった」
そうだよ。名前書いとけば良かったんだよ。……失敗した。
「残念」
結果、最後ににやっと笑うのは海だった訳で。
一気に戦意も喪失だ。
ふらふらとその場から立ち上がると、テーブルの上に置いておいた財布を手に取り玄関へと歩を進める。
「今から買いに行ってくる」
とてつもなく足は重いけど。
後ろから聞こえてくる
「いってらっしゃーい。哀れなお姉ちゃん」
という言葉に勢いよく振り返り口を開く。
「誰のせいだってんだ!」
「お姉ちゃんが馬鹿なせい」
「違うわい!」
イーっと歯を見せそれだけ言うと、ドスドスとわざと足音をたててその場を後にした。
あー、腹が立つ!
こうなりゃ、ぽん菓子一杯買って目の前で一杯食べてやる!


