『何だと思うのよ、泉は?』
優しく問い掛けられるその質問に、思わず首を傾げる。
分からないから、はるるんにこうやって電話して聞いてるんですが。
でも何か答えないとはるるんの性格からいって、……教えてくれないんだろうな。
「えー、精神的病気とか?」
『アホね』
「酷っ!」
頭を捻って必死に思い付いた答えをアホと一蹴されてしまうなんて、切な過ぎる!
一人部屋で打ちひしがれている時、電話口から『あのね』という言葉が聞こえると同時に、ゴクッと息を呑む。
次に続く言葉がこの現象の答え。
『そういう現象を恋って言うのよ!』
「…………」
『…………』
「恋…ですと?」
『うむ』
あっさりと何処かのお代官様みたいな口調で言われても、全く笑えない。
恋……って。
私が?梶木君に?
そんな馬鹿な!?
「またまたー、そんなご冗談を」
へらっと笑ってそう口にしたものの、私の心臓はとてつもなく速いスピードで脈打っている。
『と、思うの?』
はるるんの声音は一切ふざけて無くて、真剣で。私の心臓も正直者で。
誤魔化したって何か得する事もない訳で。
もう、白旗を揚げるしか出来ない。
「お、…思いません」
『よね』
ああ、私、…私。
「わ、わわわ私。梶木君の事を好き…なのかあぁぁぁぁあ!ど、どどどうしよう!?」
自分の気持ちに気付いた瞬間、頭の中は真っ白だ。


