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「いずみちゃんは、ぽん菓子は好きかい?」



やっと泣き止んだ私に優しくそう声を掛けてくれるその人。



「ぽん菓子?」



こてんと首を傾げれば、


「これ」


と言って手に持っている袋を上に少しあげる。


小さくて、白くて丸い粒々が入ったその袋。



「おいしいの?」


「甘くてとっても美味しいよ」



そう言って私にぽん菓子の入った袋を1つ手渡してくれたおばあちゃん。


おばあちゃんの手にはまだ3袋もぽん菓子入った
袋が残っていて。


このおばあちゃんはぽん菓子が大好きなんだなぁって子供ながらに思ったんだ。



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梶木君の匂いとあのおばあちゃんの匂いが余りにも似ているから最近あのおばあちゃんの事がよく頭を過る。


すぅっと彼から香る匂いを吸い込むと口を開く。



「私、梶木君のこの匂い大好き!」



本当に大好き!


好き過ぎて堪らない!



少し大胆なこの告白に、隣からチッと舌打ちが聞こえてくる。と、同時に、



「匂いね……。森山さんって、ほんとムカつく」



鋭いその言葉の槍が私の心をグサッと見事に突き刺した。



「な、何で!?」



聞き返している私に「さあ」と言って歩を速める梶木君。



「ちょ、ちょ、ちょっと待って下さいな!梶木くーん!」



彼の隣を死守する為に、早足で再び彼の横に並んだ。


ふわっと鼻腔を擽る甘い香り。



梶木君の匂いは当然ながら大好き。


これは、変わることないと思う。


でも匂いだけじゃなくて彼の性格も……、




好きだと思う。