再び、シャーペンを原稿用紙の上に置くが、やっぱり気が疲れたのか続きを書く気が起こらない。
ああ、折角順調だったのに。
ここまでか……。
こうなれば、
「ううぅ……。手伝って、梶木君」
梶木君に懇願する目を向けて拝む様に両手を合わせる。
梶木君は賢い。だから、こんな論文だってちょちょいのちょいな筈!
だが、
「絶対嫌だね」
蔑む目を向けてそうハッキリと言い切る彼は、なんとも彼らしい。
本当は、頼んでもそう言われるって分かってたよ……。
ガクッと肩を落として「だと思った」と口にすると、苦笑いを漏らす。
机に頬杖をつく梶木君はそんな私を見て明らかに呆れ顔だ。
「分かってるんなら聞かないで貰える」
「試しに」
「何度試しても変わらないから」
「もしかしたら、気が変わるかも!」
「変わらない」
全然折れない。
流石は梶木君だ。
ちょっと位、折れてくれてもいいのに……。
「ちぇっ、梶木君のけちんぼっくり」
唇を尖らせてそう言った後、梶木君の目を見て失敗したと実感する。
完全に白い目を向けて、若干隣に座る私から身を引いている梶木君のその姿。
更に、グサッと胸に突き刺さる言葉が飛んでくる。
「森山さんの発言が余りにも低レベル過ぎて何も言い返せないよ」
痛い!胸が痛い!
でも、梶木君の言葉は何も間違っていない。
「今のは自分でもちょっと思った」
下に目線を向けてそう言う。


