「期限は1週間以内だ」
「了解でーす」
右手で敬礼のポーズを取りながら、へらっと笑う。
そんな私を残念に思ったのか、原田先生の眉が下がった。若干可哀想なものをみる目を向けられている気もする。
ちゃんと1週間以内にやって来るってば。
内心でそう思っていると、あっ、言い忘れてた…と原田先生が言葉を続けた。
「次いでに言っとくけど、ネットの情報は書くなよ!本調べて書け!」
「な、何で!?」
「ネットの情報は信憑性を欠くんだよ。覚えとけよ、森山!」
「そうなんだ……。くそ面倒臭いですね」
ネットからの文章使おうと思ってたのに。
これは、図書館行きか……。
下を向きガクッと肩を落とした私に降りかかる原田先生の快活な声音。
「だろ。何でこうなったかは分かってるな?」
その言葉でガバッと頭を上げる。
「わ、分かっておりますとも。任せといて下さい!度肝抜く程の論文書いて来てみせますよ!」
胸を張って威勢の良い言葉を吐くが、実際は度肝を抜く程の論文なんて絶対に書けない。
口からポロッと意地を張った言葉が出ただけだ。
それを真に受けて、
「ほおー。まっ、期待せずに待っとくわ」
そう言う原田先生に思わず苦笑いを漏らす。
その後直ぐに「じゃあな」と言って踵を返して去って行く。
その後ろ姿を見てほっとした。
赤点は何とか免れた。
セーフ、セーフ!


