何で、梶木君の前だったら良いの?
梶木君のその言葉でドキドキしている私は彼の口から何という答えが出るのを期待してる?
何で…………
「その顔で僕は笑えるからね」
フッと鼻で笑って蔑む様にそう言う梶木君は鬼だ。
甘い匂いのする鬼だ!
何を期待していたのかも良く分からないけど、彼のその言葉でズコンッと胸の何かが抜け落ちた気がする。
「絶対にもう見せん!」
ぷうっと頬を膨らませて怒りを露にする。が、梶木君には私の怒りなんてどうでも良い事らしい。
「見せときなよ、森山さん」
「見せん!」
「残念」
軽っ!
絶対に残念って思ってない風だ!
「その言い方、嘘っぽい!」
唇を尖らすも、梶木君は何を今更という目を私に向けて、
「嘘だからね」
さらっとそう言ってしまうのだ。
「嘘ですかい!」
思わず突っ込んだ後に、はぁ…っと盛大な溜め息を吐く。
私は本当に彼に何を言って欲しかったんだろ……。
強いていうなら、今言われた言葉じゃない事は確かだ。
ぐたっと梶木君の机に突っ伏す。
と、そこでふわっと香る甘い匂いと共に梶木君の声が降ってきた。
「ところで、馬鹿な森山さん」
「……何ですか?」
少しだけ顔を上げてちらっと梶木君の顔を見る。
また、胸に突き刺さる事を言われるんだろうか……。
そう思ったのも束の間、
「今日、提出の生物のワークはやって来たの?」
彼のその言葉に時間が止まる。


