切れた茎を見つめていると、はるるんから声が掛かる。
「場所変えだってさ。泉、行くよ」
「あっ、…うん」
私の肩をぽんっと軽く叩くと、先に歩き出したはるるん。
はるるんの後を追おうとその場から立ち上がろうとした瞬間、グラッと視界が揺れる。
「あっ……」
自分の口から漏れでた声が、声になったのか、なっていないのかすらもう理解出来なくて、真っ白な世界へと変わっていく。
色が消えていく。
「森山さん!!」
最後の色が消える瞬間、誰かに名前を呼ばれた気がしたが、それが誰なのかも分からないまま私は意識を手放した。
ーーーーー……………
ざわざわと騒がしいお祭りの音は聞こえて来るのに、私の側には誰も知っている人がいない。
「おかあさーん!」
大声でそう叫ぶも、誰にも私の声なんて届いていないのか、周りにいる人は見向きもしない。
ひっく、ひっくとしゃくりあげながら泣きじゃくりその場に屈み込んでしまった私の目に映るのは、大人の足。
その時、私の前で一つの足が止まった。
母かと思って顔を上げてみたが、その人は母ではない全く知らない人だ。
なのだが、その人の醸し出す雰囲気は余りにも優しくて温かだったから、
「どうしたの、お嬢ちゃん迷子かい?」
そう優しい声音で聞かれれば、コクッと首を縦に振る。


