「痛いんだけど」
「まあまあ。ほら、早く行かなきゃ!」
はるるんの手を掴むとそのまま引っ張って廊下へと歩いて行く。
その間に、もうちょっと加減して貰える。私か弱いのよ。ひ弱なの!と唇を尖らせて言うはるるんは、本当にか弱いのか怪しいものだ。
か弱そうなふんわりとした容姿だが、基本毒舌女王様。更に、運動神経抜群という。か弱いイメージは容姿のみだ。
外に出るとクラス毎に分かれ、担任から草むしりの場所を言い渡された。
プール横と裏の草むしりが私達のクラスの担当場所だったらしい。
「ここの草はまた一段と大きいわね」
「陽当たり抜群ですか……」
さんさんと降り注ぐ太陽の日を浴びて大きく大きく育った雑草群。
目の前にある光景にそう口にすると同時に、ズキズキと頭に痛みが走る。
頭を押さえてその場に屈むと、取り敢えず目の前にある草に手を伸ばした。
これ、終わるのかな?
終わりが見えない気がする。
そんな事を考えるも、割り当てられたプール横の草をはるるんと共に黙々とむしっていく。
やっぱりというか、私の近くにいたくないと言っていただけあって、梶木君はプール横ではなくプール裏で草むしりをしているのだろう。
今、周りをぐるっと見渡してみても、彼の姿が見えないから。
再び、下に視線を向けて草むしりを再開させる。と、直ぐに私の横に人影が出来た。
その人影を辿る様に視線を上げると、そこにはさっきまで姿すら捉えられなかった梶木君が立っている。


