「おはよ、泉!」
ぽんっと肩を叩かれ、顔を少しだけ上げて「はよー」と挨拶を返す。
いつもと違う雰囲気を悟ったのか私の顔を覗き込むとはるるんが口を開いた。
「何か今日、顔色悪くない?」
心配そうな顔を向けられると、苦笑いを漏らす。
「やっぱり。頭、痛いんだよね。朝、薬飲んだから少しはましになってるけど」
本当は少し嘘。
全然ましになんてなっていない。が、只でさえ心配顔のはるるんに、更に心配をかけさせる訳にはいかない。
「片頭痛?」
「そうだと思われます」
極たまに、こういう日がやって来るんだ。
朝起きたら突然やって来ているのだから、対処の仕様もない。
「今日、草むしりなのに災難ね。倒れないでよ」
「多分大丈夫っしょ」
そう返事はしたものの、倒れないという自信は無い。
草むしりなんか、この体調なのだから休んでしまいたいところだが、それも嫌だ。
この学校の草むしりは、午後の授業の時間が当てられており、当然出席にも関わってくるのだが。
何よりも頂けないのが草むしりをさぼる、又は休んだ人は2学期にある体育のマラソンコースを放課後に1回走らなければならないという過酷な罰があるのだ。
しかも、そのマラソンまでさぼった人は2学期の体育の成績が赤点になるという事実。
はっきり言って、私はマラソンが苦手だ。
だから、何がなんでも今日の草むしりは出席しなきゃならないのだ。


