ぽんぽんぼん




「梶木君が嘘を吐く人はおばあちゃんが亡くなっている事を知っている人にで、知らない人にはなるべく吐かない様にしているんじゃない?」


「…………」



無言は肯定とはよく言ったものだ。


まさに私をじっと見つめる梶木君は声すら出さないものの、それだと思う。


梶木君は繊細で優しい人だから、きっと無闇に嘘を吐きたくなかったんじゃないかな。



「だから、私には嘘を吐かなかった。私は梶木君のおばあちゃんと関係が無いから。私は梶木君のおばあちゃんが亡くなっているのを知らないから。……違いますか?」



梶木君の目をじっと見つめ返し、答えを待つ。



今度は梶木君が何かを答えるまでは私も口を開かない。



そう決めてグッと歯を噛み締めているのが分かってのか、梶木君の唇がゆっくりと動き出した。



「それは、……ただの森山さんの考え…でしょ?」



弱々しくて梶木君らしくない声音。


でも、梶木君の言っている事は的を得ている。



「そう。今、言った事は全部ただの私の考え。でも、……私、…昨日、病院で会った小学3年生の松葉杖をついた女の子に教えて貰ったの」



昨日、パンフレットで確認しただけじゃなくて、自分の目で見てみないと!と思って病院に行ったんだよ。


白百合の花束を持って。


自分の目で確認しても、梶木君のいた場所はやっぱり集中治療室の前だった。