「梶木君のおばあちゃんはこの病院に運ばれてきた時、集中治療室に入ってそのまま亡くなってしまったんだとしたら。
梶木君があの場所に居たのは偶然なんかじゃなくて、おばあちゃんの命日におばあちゃんの亡くなった所にやって来ていたって考えるのが一番筋が通ってると思う」
そこまでで一度言葉を切るが、隣にいる梶木君は無言のまま。
動きすら無い。
でも、そんな梶木君の態度でさえこの考えを裏付けていくんだ。
梶木君がおばあちゃんの事を本当に生きていると思っていたら、こんな私の話を黙ったまま聞くなんて事出来ない筈だから。
「そこまで辿り着いた後は簡単に、今までの不思議だった梶木君の行動が頷けちゃうんだ」
顔を梶木君の方へと向けると、梶木君は俯いていて表情は分からない。
私は今、大好きな人を追いつめているんだと思う。本当に最低な奴……。
最低で嫌な奴。
だけど、ここまで言ってもう引き返す道は無い。
最後まで言うしかないんだ。
「図書館で交通事故による死亡者数を調べていたのも、おばあちゃんが交通事故で亡くなったからで。
私が梶木君の家にお見舞いに行った時に、おばあちゃんはどこか聞いたら『出掛けてる』っていう答えも、私達はまだ行くことの出来ない遠くへ出掛けたって言う意味」
私のお母さんも、昔にお祖母ちゃんは何でいないの?って聞いた時に、
『私達はまだ行く事の出来ないずっとずっと遠くに出掛けてるのよ』
っていう答えが返ってきていた。
大きくなってから、その場所が天国を指すんだって気付いたんだ。
梶木君は、……私に嘘は吐いて無い。


