「その時はね、梶木君がおばあちゃんが既に亡くなってる事に気付いて無いんだと思ったよ。でもさ、そう考えると納得出来ない事があって。
…………梶木君は、どうして病院に居たんだろう?って」
「それは……」
必死に何かを言おうとしている梶木君だけど、どうやら考えてもいなかった突然の事に言葉が続かないらしい。
ザワザワと風に揺られて音をたてている木々の葉。それが耳に大きく響く。
と、同時に一度深呼吸をした。
「梶木君がおばあちゃんが亡くなってる事に気付いてるって仮定すると、それも納得出来るんだよ」
全てのパズルのピースがピッタリはまるとは、こういう事なんだって思った。
「梶木君と病院で会った時、梶木君はおばあちゃんが入院したなんて言ってなかった。梶木君は『ばあちゃんが入院』って答えただけ。私は、ばあちゃんが入院しているなんて聞いてない。
だから、その後に続くのが入院してるからじゃなくて、入院してたからなんじゃないか?って思ったの」
そう考えた時、まさか…ね。って思ったんだよ。
でも、そこまで考えたら気になって。
「病院のパンフレットで確認したら、私が病院で梶木君の姿を見付けた時に梶木君がいた場所は、集中治療室の前なんだよ」
パンフレットを確認した時、思わず『やっぱり』って呟いてしまった時を思い出す。
目の前の事に目を瞑りたくなる様な、そんな気持ち。


