余りの正論にゴクッと息を呑んだ後に口から出た
「そうだけども」
は、とてつもなく弱々しい声になってしまった。
「さっさと教室戻ったら、哀れな森山さん」
最後の止めとばかりに梶木君の口から吐かれるその言葉は、もろに私の胸に突き刺さる。
「ひ、酷っ!梶木君のアホー!」
そう叫びながら彼に背を向け、その場から逃げ出す様に駆け出した。
何て子供っぽい行動だろう。
私、何歳だよっ!ってなるよね、これは。
格好わるっ……。
少し走ってからそう思ったのだが、もう後の祭だ。
梶木君の中で私は、子供っぽくて格好悪い女というレッテルを貼られている事だろう。
まあ、今更か。
「で、何も買わずに戻って来たのね」
教室に戻って来た私が購買での経緯を簡単に話すと、呆れた声音でそう言葉が返ってきた。
買わずにじゃなくて、買えなくてだけど。
両手を合わして祈る様にすると、懇願する目をはるるんに向ける。
「そうなの。はるるんのお弁当少し分けて」
それに、はあっと溜め息を吐いて、
「仕方ないわね。少しだけよ」
と言ってくれるはるるんは最高の友達だ。
持つべきものは友って言うもんね。
最初からはるるんのお弁当を分けて貰おうって考えに行き着いてたら良かったよ。
「ありがとう、はるるん!このご恩は一生忘れません!」
「じゃあ、明日駅前のアイス奢ってね」
こういうちゃっかりしている所もはるるんらしい。


