トンッと今いる所の岩場を蹴って川の前に着地する梶木君。
ふわっと髪が靡くその後ろ姿に、周りの木々の間から射し込む太陽の光が当たってキラキラと輝いて見える。
見惚れてしまう。
彼から離れたくないと思ってしまう。
昨日、あんなに悩んで出した答えを、……変えたくなるよ。
振り返って私と目が合うと、フッと鼻で笑って馬鹿にした様な目を向けてきたと共に、
「多分、他にも知ってる人居ると思うけど」
という何とも的確なその発言。
それは、私がこの場所を秘密の場所って言ったからですよね……。
まあ、そりゃそうか。こんなに素敵な場所を知っているのが海と私だけの筈がない。
場所だって見付けにくい場所でもないのだから。
「ですよね」
苦笑いを漏らしながら梶木君の隣に行くと、ストンとその場に腰を下ろした。
私に倣ってか梶木君も腰を下ろす。
目の前の川は、深さは足首位までで透き通っているからか底の石がよく見える。
チャポンと両足をサンダルのまま川へと浸けると、川の水に波紋が描かれる。
と、同時にギュッと目を瞑った。
真夏の暑い日射しの中で、山の川の水というのは思いの外冷たさを感じさせる。
目を開けて、
「冷たーい!」
そう叫びながらバタバタと足を動かす。
と、それに伴う水しぶきが周りに飛び散り、太陽の光と混ざりあってキラキラと輝いていて。
ずっと見ていたくなる気持ちにさせられる。


