ぽんぽんぼん




少し進めば一気に町並みから外れるのが田舎ならではだと思う。


さっきまでいた駅前とは違いグッと人通りも減る。


目の前にドンッと大きく存在感を放っている大きな山の麓へと進んでいく。


山の麓に着いて山を下から見上げれば、緑色が空まで続いていて、この山の頂上から手を伸ばせば雲も掴めるんじゃないかと思ってしまう程だ。


実際はこの山はそんなに高くはないから雲に触るなんて事、不可能だって知っているのに。



「こっちこっち!」



私に引っ張られる形で歩いている梶木君へと顔を向けるとそう言って、山の上へと続く道から少しだけ外れ、道でない道を進んでいく。


少し進むと、もう私達以外の人の気配は感じられない。


耳に届くのはカサカサカサと風に揺られて鳴る木々と、チョロチョロと山から流れる水の音だけ。


その水の音の方へと更に歩を進めると、密集していた木々が一ヶ所だけ開けた場所が見えてきた。



ここだ。


昔お墓参りに来た時、海と二人で探検ごっこをしていて見つけた場所だ。


開けた場所には、川が流れており小さな池がある。


周りに岩場が多い事から、この場所に池が出来たのかもしれない。



「へえー。綺麗な所だね」


「でしょ!昔見つけた時から私の秘密の場所です!」



秘密の凄く落ち着く場所。


おばあちゃんのお墓参りに来る度に立ち寄る場所。


ただ、一昨々日にお墓参りに来た日はここに寄っていないけど……。